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『とんがり帽子のアトリエ』レビュー!世界観&画力で魅せる本格ファンタジー!


今話題の漫画を読んでその感想をレビューする連載企画の記念すべき第10弾。今回の作品は、魔法使いに憧れた少女に訪れる絶望と希望を描いた漫画『とんがり帽子のアトリエ』です。

本作は幼い頃から魔法使いに強い憧れを持ってきた一人の少女が、この世界の「魔法」にまつわる秘密を知ってしまうという物語。とんがり帽子を被った魔法使いとの出会いにより、少女の人生は大きく変わっていきます。

今回は僕が本作『とんがり帽子のアトリエ』を読んだ後の感想をレビューすると共に、本作の概要やあらすじ、見どころも簡単に解説していきます!

『とんがり帽子のアトリエ』とは?

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イラストレーターとしても活躍する白浜鴎の新作!

本作『とんがり帽子のアトリエ』は、漫画雑誌「月刊モーニングtwo(講談社)」にて2016年7月より連載中の漫画。コミックスは既刊2巻までで、最新第3巻が2月23日に発売されます。

作者は、「マーベル・コミック」などアメコミの表紙も手掛ける漫画家の白浜鴎(しらはま かもめ)先生。デビュー作は、年10回刊漫画誌「ハルタ(KADOKAWA)」で連載された『エニデヴィ』で、全3巻の完結済み作品です。

数多くいる漫画家の中でも頭一つ抜きん出ているのが、その画力の高さ。もちろんその画力は、本作『とんがり帽子のアトリエ』でも十分に活かされています。

物語のあらすじ

小さな村の少女・ココは、昔から魔法使いにあこがれを抱いていた。だが、生まれた時から魔法を使えない人は魔法使いになれないし、魔法をかける瞬間を見てはならない……。そのため、魔法使いになる夢は諦めていた。だが、ある日、村を訪れた魔法使い・キーフリーが魔法を使うところを見てしまい……。これは少女に訪れた、絶望と希望の物語。

出典:eBookJapan

主人公は魔法使いに憧れる普通の少女・ココ。彼女は幼い頃に仮面をつけた魔法使いから買った絵本とペンの杖を大切に持っていたのですが、ある日ココが住む村を訪れたとんがり帽子の魔法使い・キーフリーが“魔法陣”を“描く”ところを目撃してしまい、興味本位で絵本に書いてある魔法陣をペンの杖でなぞってしまいます。すると、強力な謎の魔法が発現し、ココの母が石のように固まってしまうのでした。

ココは母を救うため、キーフリーの弟子となることを選びます。ただし、この世界の魔法使いは、生まれた時から魔法使いとなることを宿命づけらた者のみという決まり。その掟から外れて、普通の人間から魔法使いを目指すココは、数々の苦難にぶつかっていきます。

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『とんがり帽子のアトリエ』の見どころ

精緻な絵で魅せる本格派ファンタジー!

本作の魅力は、白浜鴎のずば抜けた画力による精緻な絵。人物たちのデザインはもちろんのこと、何気ない風景や建物など、細部にまで行き届いた筆が圧倒的な迫力を感じさせます。特に影の使い方は非常に独特で、ファンタジーの世界をよりリアルに感じることができるはず。

「魔法」の設定が斬新!ありそうでなかった世界観

本作の世界観では、実は魔法が「決まった図形の組み合わせと特殊な製法のインクさえあれば使えるもの」というのが非常に斬新。そして、この秘密を知っている者たちを「魔法使い」とし、そうでない者を「知らざる人(ふつうのひと)」として区別しています。ありそうでなかったこの「魔法」に対する設定が、ファンタジー作品でありながらどこかリアルさを感じる本作の魅力だといえます。

魔法使いに憧れた少女の葛藤と成長

魔法使いに憧れる少女というのは定番の設定のようにも思えますが、本作の舞台はれっきとしたファンタジー世界。ファンタジーの世界で敢えて普通の少女を主人公に据えるという点が、物語に深みを持たせているように感じます。

そして、ココの魔法使いとしての成長も本作の見どころのひとつ。図らずも「知らざる人」でありながら、魔法の秘密を知ってしまったココは、真っ当な道で一流の魔法使いを目指す見習いの少女たちから疎まれる存在。そのことを自覚しつつも、「魔法は人を幸せにするためのもの」という言葉を信じ、ひたむきに修行を積んでいくココの姿には心を奪われました。

『とんがり帽子のアトリエ』の総評

総合評価:★★★★★

『とんがり帽子のアトリエ』は、本格的なファンタジー世界が味わえる完成度の高い漫画でした。個人的な評価は文句なしの最高評価「5」です!第3巻も間もなく発売されるので、非常に続きが気になります!