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『BEASTARS』レビュー!擬人化した動物たちの学園ヒューマン(?)ドラマ!


今話題の漫画を読んでその感想をレビューする連載企画の第11弾。今回の作品は、今までの作品とはちょっと毛色の違う変わり種の漫画『BEASTARS(ビースターズ)』です。

本作は、オオカミやシカ、ウサギなど、ヒト科以外の動物が人間と同じように二息歩行しながら生活している世界での物語。肉食動物は草食動物を捕食することを禁じられ、互いに共存しています。

今回は僕が本作『BEASTARS』を読んだ後の感想をレビューすると共に、本作の概要やあらすじ、見どころも簡単に解説していきます!

『BEASTARS』とは?

「このマンガがすごい!2018」オトコ編第2位の衝撃作!

本作『BEASTARS』は、「週刊少年チャンピオン(秋田書店)」にて2016年9月より連載中の漫画。コミックスは既刊7巻です。

作者は、板垣巴留(いたがきぱる)先生。年齢など細かいところは公表されていないようですが、自身のTwitterなどに投稿している写真などを見るに20代前半の女性のようです。

物語のあらすじ

肉食獣と草食獣が共存する世界。そこには、希望も恋も不安もいっぱいあるんだ。チェリートン学園の演劇部員レゴシは、狼なのにとっても繊細。そんな彼が多くの動物たちと青春していく動物群像劇が始まる!!

出典:eBookJapan

舞台となるのは、全寮制の中高一貫学校「チェリートン学園」。肉食動物と草食動物が共に過ごす学校で、ある日草食動物アルパカが肉食動物に殺されるという事件が起こります。

主人公はこの学園の高等部に通うオスのハイイロオオカミ「レゴシ」。演劇部の美術チームに所属する彼は、体格に見合わず温厚で物静かな性格なのですが、周囲からはやや近寄りがたい存在として認知されています。

アルパカが殺されたことにより、学園内に不穏な空気が漂いますが、レゴシが所属する演劇部は学内の大事な講演が目前に迫っているなか、学園のスター的存在で演劇部の役者長を務めるオスのアカシカ「ルイ」を中心に準備を進めていきます。

そこで起こるアクシデントがきっかけで、主人公のレゴシは肉食獣である自分の本能を改めて自覚していくというストーリーです。

『BEASTARS』の見どころ

作り込まれたリアルな世界観

肉食動物と草食動物が共存する世界観というと、2016年に公開されたディズニー映画『ズートピア』を連想する方も多いかもしれません。

しかし、本作『BEASTARS』は、より踏み込んだ世界観のもとに成り立っている物語。肉食動物は肉を食べることを重罪として禁じられていますが、裏社会では草食動物の血が売買されているなど、表と裏の両面まで細かい作り込みが魅力です。

また、不思議なのが読めば読むほど動物たちが人間のように生活している姿がしっくりきてしまうところ。人間にも人種という区別がありますが、動物たちもそれは同じ。イヌ科といった大きな括りから、絶滅危惧種とされるハーレクイン種のウサギなど、動物たちにも細かい区分や種別が存在しています。

個性的なキャラクターたち

本作の魅力のひとつが、続々と登場する個性的なキャラクターたち。主人公のハイイロオオカミ「レゴシ」を筆頭に、複雑なバックグラウンドを持った人物たちが物語を盛り上げます。

特にカギとなるキャラクターが、チェリートン学園の高等部3年生のルイ。彼は演劇部のスターとして役者長を務める学園のカリスマ的存在です。レゴシと並ぶもう一人の主人公ではありますが、レゴシとの交流を通してルイにも変化が生まれていきます。

肉食動物と草食動物のラブストーリー

本作のヒロインは、ドワーフ種のメスウサギである「ハル」。学園内では数多くの草食動物たちと体を重ねていることで、腫れ物的な扱いを受けています。

主人公のレゴシは、ある出来事をきっかけにハルのことを異性として徐々に意識し始めます。異種族であるばかりか、肉食動物と草食動物という、本来交わることのない関係。しかし、二人が少しずつ互いを意識していく様子は、もはや種族など関係のない大きな愛を感じさせてくれます。

『BEASTARS』の総評

総合評価:★★★★☆

『BEASTARS』は、登場人物がすべて擬人化した動物という世界観の上で繰り広げられる奥深いヒューマンドラマを描いた漫画でした。絵が苦手だという方はいるかもしれませんが、物語や内容重視で漫画を探している方にはぜひ読んでいただきたい作品。個人的な評価は「4」です!