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スタジオジブリが投げかけ続けてきた全人類への問い―その答えは日本発の"SATOUMI"にあった!?


「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など、数々の名作を世に送り出してきたスタジオジブリ。そしてその作品群の中で、一際声高に掲げられていたテーマの一つが「環境問題」です。

 そしてその問いに対する明確な答えの一つを提示しているのが、『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く』(井上恭介 NHK「里海」取材班/角川新書)という一冊。今回はこれまで幾度となくスタジオジブリが描いてきた環境問題に触れつつ、本書の提示する「SATOUMI」の考え方についてご紹介します。

スタジオジブリが描いてきた「環境問題」

数あるスタジオジブリ作品の中でも、もっとも環境問題を鮮烈に描写したのが「風の谷のナウシカ」。人類が起こした最終戦争によって文明が崩壊した世界で、主人公の少女・ナウシカは必死に生き抜きます。星全体の汚染物質が流れ込み、生命力を失った海。そして、猛毒を放つ腐海(ふかい)という森と、そこで生きる虫たちとの共生の道を探る彼女の姿は、まさに人類が今後取り組んでいくべき姿勢そのものだといえるでしょう。

さらにジブリは、「もののけ姫」や「平成狸合戦ぽんぽこ」、「崖の上のポニョ」においても、人と環境との関わり方について幾度も描いてきました。エンタテインメントとして世界的にも高い評価を受けているスタジオジブリ作品。その裏には、全人類の存亡にかかわる危機的な問題が見え隠れしています。

日本発の「SATOUMI」が地球を救う?

このようにスタジオジブリが再三に渡って問題提起してきた人類と環境との関わり方。それに対し明確な一つの答えを提示しているのが、近年世界中から注目を集めている日本の「SATOUMI」という考え方です。

 2014年の新書大賞を受賞した「里山資本主義」の続編として今回制作された「里海資本論」は、この「SATOUMI」という概念をNHK取材班の実体験リポートを基に解説した一冊。主な舞台となるのは、「里海」発祥の地である瀬戸内海ですが、本書で展開されるのは都会人にとっても決して関係のない話ではありません。

自然を顧みない人間たちの行いによって、一度は「死の海」となってしまった瀬戸内海。そんな状態であった海が、現在では多くの人々の思いによって見事に再生を遂げています。瀬戸内海はいかにして奇跡の再生を遂げたのか? 敢えて人が手を加えることで海を健康にし、新しい調和と循環メカニズムの再生を図るという「SATOUMI」という考え方。読めば世界が変わって見える「里海資本論」は、今後の人類と環境との関わり方という難題に対する一つの光明となるかもしれません。

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