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そもそも“新書”とは何か?勘違いされがちな定義を解説


あなたは“新書”という言葉の正確な意味をご存知でしょうか?

これが、意外と多くの方が“新書”の意味を正しく認識されていないようです。基本的に当ブログでは、世の中に数多ある“本”の中から“新書”というジャンルに絞って紹介をしていこうと思っています。

そこでまずは、“新書”とは何なのかを皆さんに正しく理解していただくことから始めなくてはなりません。ということで、この記事ではちょっと紛らわしい「新書」の定義について解説していきます。

本来の意味での“新書”は内容を表すものではない

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本来の意味での“新書”というのは、いわゆる本の大きさ(判型)で言うところの「新書判」のことを指しています。

173×105mmの大きさ、及びそれに近い判型のものをひっくるめて「新書判」と呼ぶのです。

これは予備知識ですが、新書判には明確な基準(JIS)にないため、各出版社によって細かく大きさが異なります。

ごく身近なところで言うと、少年誌を始めとする多くのコミック単行本もこの「新書判」に当てはまります。

なお、新書よりもさらに一回り小さいA6判(105×148)サイズほどのものを“文庫”と呼びます。

“新書”とは何か?

基礎知識をさらったところで、本題の“新書”とは何か? という点に戻りましょう。

いわゆる“新書”と呼ばれているそれは、簡単に言えば各出版社ごと「新書レーベル」を冠して発行している本のことです。

実際に新書レーベルは、ざっと主なものを挙げるだけでも非常に多くあります。↓

  • 朝日新書(朝日新聞出版)
  • イースト新書(イースト・プレス)
  • 岩波新書 / 岩波ジュニア新書(岩波書店)
  • SB新書(SBクリエイティブ)
  • 角川新書(KADOKAWA)
  • 幻冬舎新書(幻冬舎)
  • 講談社現代新書 / 講談社+α新書 / 講談社AKB48新書(講談社)
  • 光文社新書(光文社 )
  • 集英社新書(集英社)
  • 小学館新書(小学館
  • 星海社新書(星海社)
  • 宝島社新書(宝島社)
  • 中公新書(中央公論新社)
  • PHP新書(PHP研究所)
  • 平凡社新書(平凡社)
  • ベスト新書(ベストセラーズ)
  • マイナビ新書(マイナビ)

……etc

“新書”のジャンルは主に「ノンフィクション」

 文庫本の多くが小説、つまり「フィクション」を扱っているのに対して、“新書”の多くは「ノンフィクション」というジャンルを扱っています。それでは、「ノンフィクション」とはどんなジャンルなのか? と聞かれると、適切な説明をするのは意外と骨が折れます。

なので、一番簡単な認識として、「ノンフィクション」という文字の通り「フィクション=架空の物語」でないもの。というのが適切でしょう。

つまり、誰かから

「新書を読んでみたらどうだ?」

と言われたら、それは

「小説や漫画以外のノンフィクションジャンルの本を読んでみたらどうだ?」

という意味で解釈すれば良いということになります。

新書のメリット・デメリット

新書のメリット

新書には、以下のようなメリットがあります。

  • コストパフォーマンスの高さ
  • 読みやすさと手軽さ
  • 様々なジャンルのラインナップ

新書は手軽に読書を楽しめるだけでなく、他の書籍と比べて低価格であることも魅力です。

また、物理的にページ数が制限されるため、文字数も少なめです。その分、内容が簡略化されるため、読み手にとっては読みやすい本になります。

既に示したように新書レーベルもたくさんあり、内容やテーマも様々です。単行本ではなかなか実現しない尖ったテーマもあるため、自分に合った本を選ぶことができます。

新書のデメリット

一方で新書には、以下のようなデメリットがあります。

  • 文字数の制限による内容の簡略化
  • 装丁や仕様に制限がある
  • 文字量が多く小さい

新書は文字数の制限により、深い知識や詳細な情報を伝えることが難しく、内容が簡略化される場合があります。入門書的な内容が多いのもこのためです。

また、装丁や仕様に制限があるため、書籍の見た目や手触りにこだわりたい人には物足りない印象があるかもしれません。モノとしての所有や持っているだけで気分が上がる、というようなことは新書では期待しづらいでしょう。

また、新書は判型が小さい分、文字も小さめです。内容的にも図版や写真中心の物は少なく、コンテンツにおける文字比率が高め。細かい文字を読むのが苦手な人は、文字がずらっと並んでいるのを見るだけで気後れしてしまうかもしれません。

「新書」と「新刊」は全くの別物

よくある勘違いとして、「新書」と「新刊」を混同しているケースがあります。

正しくは、新書はこれまで解説してきたように「書籍の形式」を指す言葉であり、新刊は出版社が「新しく発売する書籍」を指す言葉です。

まとめ

“新書”が何を指しているのかについてお分かりいただけたでしょうか? 私自身は“新書”がすごく好きなのですが、それは「ノンフィクション」というジャンルの幅広さにあるのかもしれません。

そして最後に一つ伝えておきたいのは、新書はやはり一度は「本屋さん」で探してほしいということ。本屋さんで新書を探してみると、ネット上で探しているだけでは中々目に触れることのない書籍と偶然の出会いを果たすことがあります。

これと同様に、もしこのブログが皆さんの“新書”との出会いの機会を作れるとするならば、こんなに嬉しいことはありません。

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